
©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
女子美アートミュージアムでは現在、アーティスト・舘鼻則孝氏の創作活動15周年記念展「リシンク-舘鼻則孝と手しごと-」を開催中だ。
舘鼻氏の創作活動15周年記念

©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
舘鼻則孝(たてはな のりたか)氏は、2010年の活動開始以来、「Rethink」という考え方を創作の根幹に据え、日本の伝統文化や工芸に新たな視点を与える作品を発表してきた。
花魁の高下駄から着想を得た《Heel-less Shoes》をはじめ、絵画、彫刻、版画など、その表現は多岐にわたる。
一方、それらの作品の背景には一貫して、素材に触れ、技法を研究し、道具を使いながら自らの手でかたちを生み出す「手しごと」がある。
2019年より女子美術大学工芸専攻の特別招聘教授を務める舘鼻氏にとって、同大学は自身の創作活動と教育が交差する場所でもある。
創作活動15周年という節目に開催される「リシンク-舘鼻則孝と手しごと-」では、これまでの活動を単に振り返るのではなく、完成した作品の背景にある素材、技法、道具、制作工程、そして各分野の職人や表現者との協働に光を当て、「手しごと」という視点から舘鼻氏の創作の原点と、その先にある可能性を見つめる。
会場は7つのチャプターによって構成され、舘鼻の創作を「伝統」「文化」「手しごと」「技術」「協働」「歴史」、そして「色」という視点から読み解く。
Chapter 1|伝統を履き替える

©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION

©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
東京藝術大学在学中、花魁について研究していた舘鼻氏は、彼女たちが履いていた高下駄から着想し、卒業制作として最初の《Heel-less Shoes》を制作した。

Heel-less Shoes|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
この章では、《Heel-less Shoes “Atom”》をはじめとする作品とともに、舘鼻氏が学生時代から収集してきた1950年代のアメリカ製の靴木型や、制作に用いる道具、素材なども展示。完成した作品の内側に存在する「手しごと」を紹介する。
Chapter 2|文化を読み替える

Woodcuts, 2019|鈴木コレクション / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
舘鼻氏の「Rethink」は、特定の工芸技法を継承することだけを意味するものではない。
文化の背景にある物語や図像、信仰、習慣を読み解き、それらを現代の視点から再構成することもまた、舘鼻氏の創作における重要な方法だ。

Arrows, 2019|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
この章では、「源氏香の図」に着想した木版作品《Woodcuts》、225本の矢によって構成される《Arrows》、《Descending Painting》を展示。舘鼻氏の作品に通底する文化の「読み替え」を紹介する。
Chapter 3|手しごとを編み直す

Heel-less Shoes “Atom”, 2023|鈴木コレクション / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
この章では、江戸組紐の老舗・龍工房との協働による《Heel-less Shoes》をはじめ、伝統的な技法を現代の作品へと展開してきたプロジェクトを紹介する。

東海道五十七次|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
また、令和版浮世絵《東海道五十七次》や

雷鼓|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
宮本卯之助商店との協働による《雷鼓》なども展示する。
舘鼻則孝氏と中村弘峰氏、交錯する手しごと

Heel-less FLOW Shoes — UNRAI (Cloud& Thunder) |作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K.

Heel-less FLOW Shoes — UNRAI (Cloud & Thunder) |作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K.
また、同展のために制作された新作《Heel-less FLOW Shoes — UNRAI (Cloud& Thunder)》では、舘鼻氏と人形師・中村弘峰氏による新たな協働を展開する。
Chapter 4|未来をかたちづくる

©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION

Frozen Boots, 2014|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
この章では、《Frozen Boots》から展開した彫刻作品や、

Void Sculpture, 2018 |作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
《Void Sculpture》、デジタル技術を介して身体や履物の構造を再考する作品などを紹介。
工芸とテクノロジーの境界を往来しながら、これからの「つくる」という行為の可能性を探る。
Chapter 5|ともにつくる

Lady Gaga / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
作品は、アーティストのスタジオの中だけで完結するものではない。

Daphne Guinness / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION

Zutti Mattia / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
この章では、さまざまな表現者との協働を通して、舘鼻氏の作品がどのように新たな意味や姿を獲得してきたのかを紹介する。
Chapter 6|歴史と対話する

©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
この章では、舘鼻が創作のために収集してきた資料や、そこから生まれた作品を通して、リサーチと制作の関係を紹介。

Heel-less Shoes, 2026|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION

Heel-less Shoes, 2026|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
作品が生まれる以前に存在する「見る」という行為もまた、舘鼻氏にとって重要な創作の一部となっている。
Final Chapter|色から始まる

©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION

Descending Painting (Folding Screen), 2023|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
舘鼻氏のスタジオには、作品制作のために独自に調色された3,000色以上の色見本「NORITAKA TATEHANA TONES」が蓄積されている。

NT Tone Card|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
同展では、この膨大なトーンカードの一部を初公開する。
artienceと考える、「色をつくる」という手しごと

Abstract Painting (Surplus), 2026|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
また、同展では、artienceの「色をつくる現場」と舘鼻氏の絵画制作を接続する試みとして、

Abstract Painting (Surplus), 2026|作家蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION

ドローダウン|artience 所蔵 / ©︎NORITAKA TATEHANA K.K. Photo by GION
協働による新作《Abstract Painting (Surplus)》を制作。こちらの作品も展示する。

©︎NORITAKA TATEHANA K.K.
会期は10月6日(火)までで、入館料は無料。舘鼻則孝氏の展覧会「Venus」も同時開催中なので、足を運んでみては。
■舘鼻則孝創作活動15周年記念「リシンク-舘鼻則孝と手しごと- 展」
会期:9月10日(木)~10月6日(火)
会場:神奈川県相模原市南区麻溝台1900 女子美アートミュージアム(女子美術大学 相模原キャンパス10号館1階)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:日曜・祝日
入館料:無料
展覧会特設サイト:https://rethink.noritakatatehana.com
(オガワユウコ)